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―卒業― 春光に 仰ぐ師友の 深き恩

みなさま、こんにちは!

各地で迎える門出の朝。
あたたかな光のなかで胸いっぱいの思い出を抱えた子どもたちの姿を想うと、こちらまで心が澄んでくるようですね。

はじめて門をくぐった日の緊張。
笑い合った放課後。
悔しさに涙した日。
そのひとつひとつが重なり合って、今日という節目を形づくっています。

そして、卒業式に欠かせないのが“卒業式ソング”。
数ある名曲のなかでも、私たちの心に真っ先に浮かぶのはやはり「仰げば尊し」ではないでしょうか。

🎵 「仰げば尊し」
あおげば 尊し わが師の恩
教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ)
思えば いと疾(と)し この年月
今こそ 別れめ いざさらば

互いにむつみし 日頃の恩
別るる後にも やよ忘るな
身を立て 名をあげ やよ励めよ
今こそ 別れめ いざさらば

朝夕 馴(なれ)にし まなびの窓
螢のともし火 積む白雪
忘るる 間ぞなき ゆく年月
今こそ 別れめ いざさらば

明治17年(1884年)、『小学唱歌集 第三編』に収録されたこの曲。
一番は恩師に、二番は友人に、三番は校舎に歌いかける・・・。
聴くたび、歌うたびに胸の奥が熱くなります。

🎼 3拍子・6拍子の新しい風
当時の日本では珍しかった8分の6拍子。
「強-弱-弱」という揺れるリズムは、まるで心の鼓動のように私たちの感情を優しく揺さぶります。
明治という時代、西洋文化を積極的に取り入れ始めた日本にとって、この曲はまさに“新しい音楽”でした。
伝統と革新が交差する、その象徴のような存在だったのです。

🔍 長年の謎 ― 原曲の発見
長く「作者不詳」とされてきたこの名曲。
平成23年(2011年)、一橋大学 櫻井雅人名誉教授らの研究により、原曲が米国の「Song for the Close of School」であることが明らかになりました。

1871年出版の楽譜集「The Song Echo」 に収録されていた一曲が、海を越えて日本へ渡り、「仰げば尊し」として根づいたのです。

       ※ 櫻井雅人,ヘルマン・ゴチェフスキ,安田寛 著
           「仰げば尊し 幻の原曲発見と『小学唱歌集』全軌跡」東京堂出版(2015年)

「仰げば尊し」








「Song for the Close of School」









文化は、こうして静かに旅をし、やがてその国の心となる――
その壮大な時間の流れに、思わず感慨を覚えます。


💐 ご恩を胸に
「卒業」という言葉の裏には、家族、先生、先輩、友人、地域の方々、数えきれないほどの“ご恩”があります。

そのご恩を謙虚に受けとめ、感謝を忘れないこと。
それこそが、この歌が今も歌い継がれている理由なのかも知れません。
米国で誕生した原曲が日本に渡り、「仰げば尊し」となって142年。
時代が変わっても、この歌が教えてくれるのは〈感謝と祈り〉です。

今一度、あの日の自分にかえり、あの旋律と歌詞を静かにかみしめてみたいものですね。
春風にのせて未来へ。
新たな一歩が、やさしく照らされますように。




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